2025年10月12日にボディビル最大の大会、Mr Olympiaが開催されました。
その中でも最大の人気を誇り、最も巨大な選手たちが出場するオープンボディビル。
その結果として、トップ6に入った選手についてこの記事では書いていきます。
7位以下の順位や、別カテゴリの順位については以下の大会ページにまとめてあります。
第6位 Nick Walker
第6位になったのは3年ぶりのオリンピア出場となったNick Walker。
もともと巨大だったNick Walkerですが、今回はそのサイズをさらに増して登場。
「デカさが正義」のポリシーに恥じることのない、圧倒的な存在感を示していました。
ただやはり時代が求めているボディビル像ではないためか、この順位。
十分に素晴らしい順位ですが、Nickとしては満足のいく結果ではなかったかもしれません。
今回のNickは全体的にサイズアップしていたと思うのですが、特に目立っていたのは脚です。
横から見ても後ろから見てもとにかく脚の幅がデカくて驚きました。
これはNickの弱点である大きなウエストとのバランスを持たせるための、Nickの工夫だったのでは思います。
「デカさ」を追求する姿勢は崩すことなく、現在のボディビルに求められているバランスの良さへの対応もしていく
こういうNickの我の強さと柔軟さを併せ持っているところが本当に好きです。
来年もNickらしさ全開でOlympiaに登場してほしいと思います。
第5位 Martin Fitzwater
昨年初出場で第4位だったMartin Fitzwaterが今年は第5位でした。
Martinのすごさは、すべての要素が高いレベルで弱点がないところだと思います。
すべての部位で90点以上をとれるような体をしています。
特に強い部分はもちろん背中の厚みですね。
また今回のOlympiaではコンディションも素晴らしく、お尻にまでストリエーションが入り、
厚みのある筋肉のハードな質感がよく表れていました。
ここから120点をとれるような部位を作っていくのか、
それともこの素晴らしいバランスを保ったままサイズアップしてさらに平均点を伸ばしていくのか
この先の進化が楽しみな選手です。
第4位 Samson Dauda
昨年のチャンピオン、Samson Daudaはなんと第4位まで落ちてしまいました。
高身長でありながら、バルクの迫力も持ち合わせたRonnie Coleman以来の巨大なチャンピオンとして
時代を築いていけるか注目を集めていたSamsonですが、大きく順位を落としてしまいました。
個人的な印象としては、サイズ、絞りともに昨年とほぼ同じものを持ってきていたように見えました。
しかし、少し元気がないというか、筋肉の張りが弱かったかなと思います。特に胸と広背筋。
もしかすると減量がうまくいかなかったのかなとか、思ったりします。
あとは、今年のトップ3の仕上がり具合がえぐかったのも敗因だと思います。
第3位 Andrew Jacked
昨年5位だったAndrew Jackedが今年はトップ3にまで躍り出ました。
昨年からの進化が一番目立ったのがAndrewでした。
Andrewはストラクチャはもちろん、サイズに関してもすでに申し分ないものを持っていて、
コンディションや質感の面が課題となっていたのですが、
今回のOlympiaでは、お尻にうっすらとストリエーションが見えるほどに絞り込んできました。
コンディションが良くなることで、もともとの巨大で角ばった迫力のある筋肉の質感がより強調されて、
Andrewのガンダム的な体の魅力がより一層出ていたと思います。
トップ2に勝つためには、ここからさらに人絞り必要になるかもしれませんが、
超大型のチャンピオンの可能性がSamsonだけでなく、もう一人見えてきたことが
ボディビル界にとっても、大きな収穫になったと思います。
ここらからのAndrewの活躍は注目していきたいです。
第2位 Hadi Choopan
昨年と同様、今年も第2位という結果になりました。Hadi Choopan。
コンディションは昨年よりも若干甘かったように見えましたが、
そもそもが選手中トップクラスのコンディションなので、最高ではないというだけで
十分に縛らしい絞りでした。
そして今回、予選の登場時に見せたバキュームからの腹筋を見せるポージングがめちゃくちゃカッコよくてしびれましたね。
体幹のハードな質感がダントツでよいHadiだからこそ映える、シグニチャームーブにしてもいいくらいの、ポーズだったと思います。
個人的には上記のポージングのインパクトと、バックラットスプレッドの強さ、選手中トップのハードな質感で、Hadiを推していたのですが、
Hadiはポージングが長く続くと疲れてくるのか、強みであるハードさが若干薄れてくるように思います。
そこがこの順位の一因なのかなと感じました。
第1位 Derek Lunsford
昨年3位だったDerekが今年はチャンピオンの座を奪い返しました。
今年のDerekはArnold Classic、Pittsburgh Pro、Mr Olympiaと、2大大会を含む3つの大会で優勝するという快挙を成し遂げました。
おそらく、前例はないのではないでしょうか。
212クラスとオープンの2階級チャンピオンに続いて、またしても歴史的な勝利を収めたDerek Lunsford。
昨年指摘されていた脚のサイズのアンバランスさが改善されて、巨大な上半身に見合う大きな脚に進化していました。
もちろん巨大な上半身はそのまま、どころか、上半身もさらにパワーアップしているように見えましたね。
その分めちゃくちゃ細いウエスト、というDerekの特徴だった部分は、薄れてきていますが、
それでも十分にウエストもタイトに保たれていて、恐ろしく巨大な体をバランスされてパッケージにまとめ上げてきていました。
またDerekはHadiとは逆で、ポージングをとればとるほど、質感が良くなっていくように感じます。
ということもあって、最終的にはDerekの完成度が他選手を圧倒していたように思います。
昨年の負けを経たことで、手を付けられない怪物に進化してしまった感がありますね。
時代はプロポーションを求めているが
今、時代的にはプロポーションの良いボディビルダーが求められています。
オープンボディビルではSamson DaudaやAndrew Jackedの人気が高く、期待をされているわけですが、
今年のDerekの完成度を超えるのは、時代を味方につけたとしても簡単ではない気がします。
しかもDerekはまだ32歳。
今年のトップ4の中でもっとも若いです。末恐ろしいですね。
とはいえ、個人的にはまたプロポーションを兼ね備えたOlympiaチャンピオンが誕生してほしいですね。
今年は結果が振るわなかったSamsonも、大きな進化を遂げたAndrewにも期待しています。
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